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16世紀末、日本に漂着したオランダ船リーフデ号。生き残ったわずかな者の一人が イギリス人の船員、ウィリアム・アダムスだった。漂着の地にはすでにスペイン人の宣教師がいた。スペインとオランダ,英国は交戦状態にあり、宗教的にもカソリック対プロテスタントで対立していた。心身ともに剛健なアダムスは 船長にかわって ここに至る道筋を現地の大名に訴えるが、宣教師の悪意に満ちた通訳により、海賊とみなされ、磔に処せられそうになる。常日頃の教えからは考えられないような宣教師たちの非人間的な態度に驚きを隠せないのが日本人のキリシタン青年ドメニコだ。もとは誉れ高き北条氏の出でありながら、お家が没落し、今は宣教師を目指して外国語を学んでいるドメニコは、アダムスに救いの手をさしのべようとする。そんな時、徳川の使いが到着。積荷の大砲ともども アダムスを召喚する。アダムスは、ドメニコに付き従われて大阪の家康の下に参じる。 家康の城は、英国でも下層階級の出身のアダムスがこれまで目にしたこともないような贅を尽くしたものであった。日本の美的洗練に言葉を失うアダムス。おじぎの仕方、礼儀作法などを細かくドメニコから指南され緊張に震えながらアダムスは家康に謁見する。家康は、自らは一度も海外に出たことがないが、西欧文化に深い関心を寄せ、アダムスの語る天文学・算術などに目を輝かせる。アジアの辺境から世界を見つめる家康と、世界を渡り歩いて辺境に至ったアダムス・・・二人の軌跡が交錯する運命の出会いであった。家康は、豊臣家を滅ぼし、天下をとることを目指している。天下分け目となる関が原の戦、石田光成率いる西軍と家康率いる東軍の雌雄を決したのは、アダムスが家康にもたらした最新鋭の大砲だった。勝利の褒美を問われて 英国の妻子のもとへ一刻も早く戻りたいと願うアダムス。しかし彼を手放す気のない家康は、隠密裏にリーフデ号を沈めてしまう。 アダムスは、家康の求めに応じて西洋流の造船技術で船を作る。スペイン人やポルトガル人がキリスト教への改宗を迫るのにうんざりしていた家康は、腹蔵のないアダムスを寵愛する。帰国を画策したアダムスは家康の逆鱗に触れるが、ほどなくして家康は 三浦の地を領地としてアダムスに与え、旗本として召抱える。そして“船乗り”を意味する“按針”との日本名を与え、日本人の娘 お雪と娶わせる。次第に外国人たちはアダムスを通してしか将軍家康と話をすることができなくなる。徳川の治世を安泰にするため、大阪の陣にうって出る家康。豊臣側は 秀吉の息子ながら戦の経験のない秀頼を大将に頂き、淀君の暴走に振り回されて、壊滅する。家康は、息子秀忠に将軍職を譲る。そんな折、アダムスの祖国イギリスからの商船が日本に着く。待ちに待った祖国の人との再会は、しかしアダムスに失望しかもたらさなかった。帯刀し、日本人以上に日本的な精神をもつアダムスに英国人は驚きを隠さず、アダムスは英国人の帝国主義的世界観に大きな幻滅を覚えるのだった。 秀忠は、反キリシタン政策を強く推し進める。ドメニコの影響で、お雪を含む 按針の家来と家族たちはカソリックになっていた。窮地に陥るドメニコ。家康にも死期が迫る。時代の一つの大きな扉が音をたててしまっていく・・・。
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